京都新聞デジタル版に掲載されました。

2019年(平成31年)2月5日火曜日

夢のバンク 選手を誘導

「一瞬のために準備重ねる選手に日々学ぶ」

▲   ▲   ▲
「自分の力一つで勝負する選手には憧れます」

京都向日町競輪場(向日市寺戸町)のバンクをバイクで走る。後続の選手が必死に追いかける。自力では出せない負荷をかけるバイク誘導の練習。「選手にとっては一日一日が勝負。レースというほんの一瞬のために準備を重ねる姿は日々勉強になります」

 日本競輪競輪選手会京都支部の練習パートナーを務める。加速のタイミングや最高速度、スピードの維持など、選手に合わせたアクセルワークに細心の注意を払う。

 小学生の時に初めて競輪を見た。甲子園競輪場(兵庫県西宮市)で、父に肩車をしてもらって観戦すると、選手の息づかいや観客の熱気、自転車の疾走音に夢中になった。競輪選手になりたいと思っていたが中学卒業後に就職したため、その道は途絶えていた。

 40年越しの思いを胸に、初めて競輪場のバンクを駆けた2014年秋。選手と同じ目線で風を切る。「めちゃくちゃうれしかった。ちょっと違う形だけど夢がかなった瞬間でした」

 自転車競技の経験はない。残りの周数を示す掲示板や距離を示す専門用語に戸惑いながら勉強を重ねた。少しでも選手の気持ちを知ろうと自転車でバンクを走ったもののスピードが出ず、傾斜で転倒しそうになったこともあった。努力が実り、現在は選手から厚い信頼を寄せられている。

 心がけているのは「安全第一」。バイクを追う自転車との距離は10センチほど。少しでもスピードを緩めれば衝突する。トップ選手の村上博幸さんに「命を預けています」と言われたことが忘れられない。

 「後ろにいるはずなのに気配が消える。そういう状態の時は強い」。

ミラー越しに見える一瞬の伸びも好調の証し。選手に寄り添い、調子すらも分かるようになった。近年は競輪選手用のサプリメントや手袋などを販売する会社も立ち上げ、サポート役に徹する。「一生懸命頑張っている人のお手伝いができる。それは幸せなことです」(宇都寿)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です